奥出 一順


 出身地 ▷宇治市 

 移住年 ▷2003年

以前の職業▷食品スーパーの鮮魚部門の責任者 

今の職業 ▷自営業、「蕎麦懐石&農家民宿 おくで」                                      田舎暮らし講座「京都 田舎塾」「久多の会」を主催。

久多に移住したきっかけは?

 今の住まいの近くの畑を借り、2年ほど通い百姓を続けていたある日、私達家族に久多を紹介して下さった方から「中ノ町にある空き家の家主さんが、売りに出そうとしているよ」と聞かされて・・・当時、小学校3年生の長男(現在20歳)と年長さんの次男坊(現在高校三年生)が二人とも小児喘息とアトピーを患っていて、この自然豊かな環境で思いっきりのびのびと育ててやりたいと考えていた頃だったので、決断しました。

実際に移住してみてどうでした?

 初めの頃は、子供たちもカエルやとんぼ、カブトムシやクワガタ等の虫がいて嬉しかったのと、夏は川遊び冬はスキーが出来るほどの大雪があり大変喜んでいましたが、年頃になってくるとコンビニも無ければゲームセンターも無い田舎の暮らしに物足りなさを感じ始めるようになり、「なんでこんな所に連れてきたん!!」と文句を言われる様になりましたね。(笑) 移住した頃は、排他的な考えの村人との付き合い方に苦労しましたが、今となってはその気持ちも分かる様になりました。それは、先祖代々受け継いできた村の秩序を壊されたくない一心だった思えるからです。僕は、子供たちと一緒に「不便な暮らしを楽しむ!!」実践したかったし、「野菜は買うものではなく、育てるもの」「頂いた命は、残さず食べる」と云った最低限のモラルは、二人の息子たちに伝えられたと思いますし、そう云う意味では当初の目的は達成出来たと自負しています。

これから久多の暮らしの中でやってみたいことは?

 今現在夫婦二人で切り盛りしている「蕎麦懐石&農家民宿 おくで」を事業拡大し雇用を生み出す様にしたいのと、長年の夢である「孤児院」を設立したいです。親の愛情に恵まれない、チャンスに恵まれない、才能に恵まれない子供たちに自信と勇気を抱かせ社会に送り出す。でも、「ダメだったらいつでも帰ってくれば良いんだよ!」と言ってあげられる場所を残してあげたいんです。

移住を考えている人へメッセージ

 我々と同じような子育て世代で移住を考えておられる方々へ。

「三つ子の魂百まで」じゃないですが、大切なわが子に“あるべき姿”を伝えるにはここ(久多)は、最適の場所だと思いますよ!  “不便だからこそ、豊かな暮らし“が、ここにはあります!!

買い物に行くのも病院へ行くのも車で40分以上もかかるし、雪は多い年なら2m近くまで積もり、毎朝の雪かきは重労働。家族で助け合い励まし合いながら暮らさなければいけないからこそ、絆が深まると思うんです。“得るものがあれば、必ず失うものもある”何を失うかじゃなく、何を得ようとしているかをしっかり意識して覚悟を決めてください。